Burtonの『STEP ON』、NIDECKERの『SUPERMATIC』など、2020年以降はスノーボードのビンディングに革命を起こしているステップイン系ビンディングが数多く登場しています。
使ったらそのあまりの簡単さに虜になってしまうこと間違いなし。
本記事では、今が旬のステップイン系ビンディングを紹介していきたいと思います。
この記事では総称してクイックに装着できるビンディングのことを「ステップイン系」と呼称します
ステップイン系ビンディングって?
スノーボードのビンディングはスキーと違って、ビンディングについたストラップでブーツを固定するのが一般的です。
特性上、「滑り終えたら片方のストラップを完全に外してリフトに乗り、滑り始める前に再度装着する」という手間が必ず発生することになります。
脱着に慣れている人は問題ありませんが、初心者だと脱着にかなり手間取りますし、脱着時に毎回腰を曲げて操作するのは年齢を重ねてくると正直、辛いものがあります…
この問題を解決したのが「ステップイン系ビンディング」です。
スキーと同じようにビンディングの上にブーツを押し付けるだけ・滑り込ませるだけで装着できるようになりました。
ステップイン系ビンディングの「メリット」と「デメリット」
ビンディングとブーツを同時に買い替える必要がある
ビンディングとブーツを同時に買い替える必要のある商品もあります。
例えば、BurtonのSTEP ONはシステムの都合上、専用のブーツとビンディングでなければなりません。
現状ベストマッチなブーツを履いていたとしても、ステップオンを利用するためには「買い換えざるを得ない」という状態です。
ただ、NIDECKERの『SUPERMATIC』は今履いているブーツをそのまま使える仕組みのため、モデル次第でこの問題は解決できますよ。
価格が高価
ビンディングの値段はブランド・性能によってピンキリではありますが、ステップイン系ビンディングは総じて高価です。
サロモンの入門モデル『RHYTHM』は1万円代と、ステップイン系ビンディングと比べるとほぼ半額くらいで購入できてしまいます。
これからスノーボードを一式揃えるという方にとっては躊躇してしまう値段なのは間違いないですね。
STEP ONはだいぶ手の届きやすい値段になりましたが、ブーツも併せて購入しなければならないので、結果的には他のビンディングよりも高くなってしまいます。
着脱が凄く簡単で早い
これがステップイン系ビンディングを選ぶ1番の理由になっているかと思います。
ストラップ式のビンディングと比べると、体感的に着用時間は5分の1くらいまで短縮されるイメージです。
例えば、装着時間を3秒、ストラップビンディングの装着時間を20秒とします。
装着時間 | 1日15本 | 20日滑走 | |
---|---|---|---|
ステップイン系 | 3秒 | 45秒 | 900秒(15分) |
ストラップ | 20秒 | 300秒 | 6000秒(100分) |
1日に15回リフトに乗り、年間20日滑走するとした場合、年間で85分も差が出てくるんですよね。
「85分も多く滑れる」ことに繋がるので、リフトをガンガン回したいヒトリストにもおすすめなんです。
雪が詰まって装着できないことがある
そうそうあるトラブルではありませんが、筆者が使っているSTEP ONは、装着する際にブーツのカカトに付いている金具をビンディングにはめ込みます。
この時、ビンディング側に何らかの拍子に雪が入り込むと、しっかりと固定されないということがありました。
その時はリフト係の方にドライバーを貸してもらって雪を取り除いたら問題ありませんでしたが、ステップイン系はストラップビンディングよりも複雑な構造になっている分、このようなトラブルが起こることも考えないといけません。
疲れにくい
複数あるデメリットをこのたった1つの理由で帳消しにできます。
それは「疲れにくい」というシンプルな理由です。
というのも、ビンディングストラップの場合、慣れないうちは座って装着している方が多いんじゃないでしょうか?
この時、滑る度に立ち上がる&座る動作を行わなければなりませんよね。
これが歳を取ってくると非常にしんどいんです…
初心者の頃に”なぜか腕が筋肉痛”になるのは、立ち上がる動作で腕の筋肉を使うから
ステップイン系ビンディングの場合、基本的には立ったまま踏み込みだけで装着でき、腰をほとんど曲げなくても済むので、腰への負担も全然違います。
使ってみないとわからないかと思いますが、身体的な負担が激減しますよ。
各種ステップイン系ビンディング
FLOW
正確に言うとステップイン系ではありませんが、クイックに装着できるビンディングの元祖と言えるのがFLOWのリアエントリービンディングです。
ハイバックがかかと側にガバっと開くことができ、そこからブーツを通してハイバックを起こすだけなので、ステップイン系のビンディングと遜色ないくらい早く装着できます。
専用のブーツも必要なく、ビンディングさえ購入すればいいだけなので手軽ではありますが、合うブーツ合わないブーツがあるのがデメリットと言えます。
筆者の相方はブーツとビンディングが合わず、使っているうちに痛みが出てきてました
Burton / STEP ON
一昔前にもBurtonは「STEP IN」と呼ばれる同じようなシステムのビンディングを発売したことがあったのですが、「高い」「重い」といったデメリットばかりが目立ってしまい、一切流行らないまま発売からわずか2年で販売を終了した経緯があるようです。
そんな中、2017年から満を持して発売されたのが、新システムを搭載したSTEP ON(ステップオン)です。
装着時はただ踏み込むだけで付けられて、外す時はリリースレバーをただ引くだけで簡単に外せるので、滑り出しがとにかく早く快適になります。
専用のブーツを購入しなければならないというデメリットがあるものの、すでにBurtonのブーツ&ビンディングを愛用している方であれば、ほとんど同じ乗り味なので移行がスムーズに行えます。
現状はステップイン系ビンディングで最も使っている方が多いと思われる王道モデルです。
筆者もすでに3年愛用しています
NIDECKER / SUPERMATIC
2022-23シーズンから登場するNIDECKERのSUPERMATIC(スーパーマチック)はこれまでのステップイン系ビンディングにはない特徴を持ち合わせていて話題沸騰中です。
その特徴とは、BurtonのSTEP ONと同様に踏み込むだけでビンディングを装着できるドロップインシステムを採用しているのですが、こちらは専用のブーツを必要としないので、今履いているブーツをそのまま利用することができます。
日本で着用者の多いDEELUXEブーツもそのまま使えるので歓喜している方も多いはず。
さらに、FLOWのビンディングに採用されているリアエントリーの技術も採用しているため、ステップイン系ビンディングの弱点でもあった「平地以外での装着」も可能になっています。
現在使っているブーツがそのまま使えて、2パターンの脱着ができるという、現時点では最強のステップイン系ビンディングではないでしょうか。
いま間違いなく最も注目度が高いのはこのビンディングです
K2 Snowboarding / Clicker
スノーボードギアブランドとしても歴史のあるK2 Snowboardingには、Clicker(クリッカー)というステップイン系ビンディングを販売しています。
特徴としては、BurtonのSTEP ONはブーツをつま先とカカトでロックするのに対し、Clickerは足の裏でブーツとビンディングを固定します。
そのため、足の裏に金属の金具が入っていることから足底が硬めかつ重めのようなので、中〜高速域向けのブーツかなという印象です。
ブーツとビンディング両方の購入が必要ですよ
CLEW BINDING
CLEWはドイツのメーカーで、 ビンディングが2つに分かれるという変わった特徴のあるビンディングを発売しています。
ブーツを購入する必要がないことがメリットとして上げられますが、有名なメーカーではないため情報量が少なく、購入へのハードルはかなり高いのがデメリットでしょうか。
レビューを探してみると、構造上の問題でビンディングがかなり重いそうなので、あえてこれを選ぶ必要はないかな…というところ。
冒険するのが怖い価格帯ですね…
まとめ
筆者自身、BurtonのSTEP ONを初めて使った時は世界がだいぶ変わりましたね。
とにかく着脱が楽なので疲れないですし、滑り出しも素早くできるので、午前中の雪質が良い時間帯にリフト回しをガンガンできることもメリットです。
記事を執筆した時点では多種多様なステップイン系ビンディングが発売されているので、ぜひ機会があれば試していただきたいなと思います。