STEP ON(ステップオン)が2017年に登場した時に衝撃を受けた方も多かったのではないでしょうか?
発売当初はあまりに人気かつ品数が以上に少なく入手困難な状況でしたが、筆者は2019-20年シーズンに入手して3年間フルで使い倒しました。
本記事では、BURTONのSTEP ON(ステップオン)を3シーズン愛用した使用感についてレビューしていきたいと思います。
ブーツについても同時購入したため、ヘタリ具合なども含めて解説していきたいと思います。
筆者はこれまでのスノーボード人生の中で、板と違って色々なビンディングを試してきたというわけでもなく、ここまでガッツリ使ったのはステップオンが初めてです。
よって、他のモデルとの比較レビューはできない点をご了承ください。
STEP ON(ステップオン)とは?
素早く簡単に装着でき、ハードな滑りにもバッチリ対応。スノーボード史上最も革新的なブーツ&バインディングシステムです。
BURTON公式通販
STEP ON(ステップオン)は、ただ踏み込むことで装着でき、ブーツの脱着が早く・簡単にできるビンディングシステムのこと。
”ワンタッチ”で装着できるビンディングシステムはこれまでにありましたが、「ビンディングとしての性能」が劣っていたり、「重量がかなり重い」などの欠点が目立ち、ほとんど普及しませんでした。
それらの欠点を克服し、BURTONが満を持して2017シーズンより発売したのがこのSTEP ONです。
STEP ON(ステップオン)とブーツの3年後使用感
こちらが筆者の3年間フルで使用したビンディングとブーツです。
ブーツはSTEP ON版のRULER(ルーラー)になります。
使用環境ですが、1年間の滑走日数は25日前後で毎回使っていて、2021-22シーズンで合計3シーズン着用したことになります。
値段は非常に高額でビンディング&ブーツで最安9万円ほどしたと思います。
ブーツのRULERを購入したのも、特にこれが買いたかったじゃなくて「選べるブーツで一番安いから」という理由で購入した気がします…
肝心の使用感ですが、脱着については半日もあればすぐに慣れました。
かかとに体重を乗せると「カチッ」と音がなるので、これが完全装着の合図のような感じ。
ビンディングの耐久面では、3年使って表面の傷などは結構目立つものの、ビンディングが割れた・壊れたというのは一切ありません。
STEP ONシステムの仕組みが単純であるため、はまらない・はずせないというのも一度も経験がないのでステップオンの初期型と考えても優秀です。
唯一、ビンディングのガスペダル部分が破れてきています。
この部分は経年劣化として仕方ない部分でしょうか。もっとボロボロになったら有償にはなりますが修理に出せば問題なさそうですね。
続いてブーツですが、まず一般的なスノーボードブーツとなんら変わりありません。
重さも軽いですし、見た目もロックに必要な金属が付いているくらいで使用感も最高です。
でも、さすがに3シーズン合計約80日近く滑っていればヘタってきます。
筆者はしっかりホールドされているのが好みで、最初はしっかり締めてもボアの巻きもそこそこ閉めれば良かったはずが、3年目にはボアをMAXで閉めないとちょうどいい締め具合にならないほど緩んできています。
ヘタリ以外はソールが剥がれてきたということもなく、厚手のソックスを履くなどして工夫すればまだ使うことはできそうです。
ブーツについて余談ですが、購入当初は28cmを購入しました。
ただ、同サイズを購入したにも関わらず、これまで履いていたブーツよりも明らかに小さくキツキツだったので29cmを購入しました。このサイズでジャスト〜ちょうどいいくらいでした。
それが3年着用した今現在ブカブカです…厚手のハイソックスを2重履きしてちょうどいいほどに…
次買うときはおそらく28cmを頑張って履いて、調整していくことになりそうです。
STEP ON(ステップオン)のメリット・デメリット
筆者がステップオンを3年間フルに使って感じたメリット・デメリットや気付きについてご紹介していきたいと思います。
①:とにかく装着が早い
ステップオンの最も特徴的なポイントがこれ。
リフトを降りたら、滑り出せる位置まで移動し、止まって「ガチャン」とはめてGOできます。
慣れると、リフトを降りて止まってから装着まで早いと3秒くらいでしょうか。
装着までの時間が早いということは、滑れる本数にも違いが出てくるということです。
仮にステップオンの装着時間を3秒、ストラップビンディングの装着時間を20秒とします。
1日に15回リフトに乗り、年間20日滑走するとした場合、結構な差が生まれてきます。
装着時間 | 1日15本 | 20日滑走 | |
---|---|---|---|
ステップオン | 3秒 | 45秒 | 900秒(15分) |
ストラップビンディング | 20秒 | 300秒 | 6000秒(100分) |
あくまで仮定の数字ではありますが、ステップオンの方が年間で85分も得をする計算になります。
体力が続けばの話ではありますが、85分も多く滑れることになるのでこの時間差はかなり大きく感じます。
相方はステップオンにする前、FLOWのリアエントリー式を使っていました。
こちらも装着は早いんですが、車に積み込む際はかさばるので毎回ストラップを外してハイバックを折りたたんで収納していました。
ただ、次に使う際に自分のちょうどいい位置にまたストラップを締めないといけないので「これが面倒くさい」と…ビンディングを調整する場合も外すこともあるので嫌だと…
ステップオンにしてからはこの作業がなくなったので「最高!」とのことです。
②:装着時にかがむ・座らなくていい
これは個人的にかなり大きなメリットですね。
ストラップ式のビンディングを装着する時、基本的にはかがみつつストラップをカチカチを締めなければなりませんでした。
中級者くらいになれば、かがむだけでストラップは締められますが、座り込まないとストラップを締められないという方もいるでしょう。
この動作をリフトに乗る度にやっているのが、歳を重ねるごとにこの動作が辛いのなんの…
でも、このステップオンならご存知の通り、足を踏み込むだけで装着することができます。
なので、腰に負担になるような動作は一切なしで滑り出すことができるんです。
体への負担の軽減という意味では、30歳以上のスノーボーダーには特に大きな恩恵として感じられるはずです。
筆者は正直、ステップオンに完全に慣れてしまったため、疲れるストラップビンディングに戻ることは一生ないと思います。
③:ビンディングとしての違和感は一切なし
筆者はこれまでたくさんのビンディングを試してきた…わけではありませんが、ビンディングとして違和感は一切ありません。
全体的に重いわけでもないし、かといって軽すぎるわけでもなく、これまで使ってきたストラップビンディングと違いは感じられません。
「ストラップがなくて怖い」と思う方もいるかもしれませんが、最初にしっかりと踏み込んで装着すれば外れることはないです。
筆者は何百本とこのビンディングを使って滑りましたが、外れそうになったこと・外れたことは一度もありません。
そこそこハードな環境下でも全信頼をおいて踏み込めるビンディングです。
④:ビンディングとブーツをセットで購入する必要あり
システムの都合上、専用の金具がついたブーツを履く必要があるため、必ずビンディングとブーツをセットで購入する必要があります。
どんなにお気に入りのブーツがあっても、必ずステップオン対応のブーツを履かなければならないのはデメリットでしょう。
BURTONのブーツはなかなか日本人に合う足型にはなっておらず、ワイドフィット対応も発売されていますがフィッテングに悩まされるかもしれません。
とはいえ、現在ではBURTONだけでなく、DC SHOESからもステップオン対応のブーツが発売されているので、選択肢の幅は広がっています。
逆に同時購入で”相性100%のビンディング&ブーツを購入できる”と考えることもできます。
ビンディングとブーツによっては、形状的にどうしてもフィット感が悪い組み合わせになってしまうことがあります。
相方のFLOWのビンディングとVANSのブーツの相性が悪く、「締めすぎると痛いのに、強く締めないと緩くて怖い」という最悪な状態でしたが、ステップオンを導入してこの不満が完全解消されました。
⑤:パウダーの上では装着ができない
「足を踏み込んで装着する」という仕組み上、足元がそこそこ硬くないといけません。
よって、パウダー雪の上での装着はまず無理だと思ってください。
パウダーの上で装着するというシチュエーション自体が緊急時を除いてほぼないですが、底づきさえすれば大丈夫なので、ゲレンデ内しか滑らないという方はそこまで気にする必要はないでしょう。
⑥:取り外しは普通のビンディングと大差なし
装着に関しては、ストラップ式のビンディングと比べて圧倒的に早いです。
ただ、取り外しについては大差ないと思います。
ストラップ式でも早い人は一瞬で取り外していますし、逆にリリースレバーを掴み損ねたりすると「逆にステップオンの方が遅いかも」と感じることさえありますね。
⑦:やっぱり金額が高い
正直、金額が高いですね。
安めのビンディングを楽天市場などで検索してみると1万円代で購入できます。ブーツだって安ければそんなものです。
それがステップオンを購入するとなると、ビンディング&ブーツで一番安いものを選んでも77,000円(2022年現在)です。
ちなみにこれでも2021-22シーズンから価格が1万円安くなってます…
脱着がいくら楽そうでも、買うのに躊躇してしまう値段ではないでしょうか。
もうちょっと安い「廉価版」のようなものが発売されれば、爆発的に人気が出るかもしれません。
⑧:ウェアの裾を巻き込まないように注意する必要あり
かかと側にロック機構があるのですが、ブーツとビンディングをしっかりあわせてロックする必要があります。
ただ、ここの金具にウェアの裾を巻き込んでしまう可能性があります。
私は毎回ウェアを軽く持ち上げて装着するようにしているので、今まで巻き込んだことはありませんが若干面倒ではあります。
ブーツ側に裾を挟み込めるクリップがあるので、そこにウェアの裾を通すことで解決することができます。
ちなみに、このクリップが裾を巻き込まないように存在しているという事実を使い始めて3年たってから気づきました…
⑨:ハイバックローテーションができない
カービングをバシバシやるという方は、ハイバックのフォワードリーンを全開にしてローテーションさせることもあるでしょう。
ところが、このステップオンのハイバックはロック機構があるためローテーションさせることができないんです。
フォワードリーンはごくわずかですが調整することができます。
フォワードリーンの調整幅が大きかったり、ローテーションできるビンディングと比べると板を立てづらいかもしれませんが、有名デモンストレーターの平間和徳 (ラマさん)もステップオンでキレキレのカービングを披露しているので、できないわけではありません。
⑩:1人だけステップオンだと意味がないかも
ヒトリストの方には関係ない話ですが、家族・夫婦・カップルで滑りにいく方も多いと思います。
そういう方は、自分だけ装着が早いステップオンだとなんだかんだストレスが溜まるかもしれません。
というのも、「相手を待たなくてはいけなくなる」から。
一緒にいく方がストラップビンディングで付けるのが遅いと、自分はとっくに滑り出す準備完了でも毎回相手を待つ必要が出てきます。
筆者はこれが嫌で相方にもステップオンを購入して待つ時間がないようにしたところ快適すぎました。
これは盲点な気がします。
⑪:短い距離でも外せるし、装着できる
スキー場のレイアウトて、リフトからリフトへの移動だったり、コース間の移動で平坦な道って結構ありますよね。
ストラップビンディングの場合、この移動時にビンディングを外してまた付けるのが面倒なのでスケーティングで頑張る方が多いと思いますが、かなり疲れませんか?
あと、ちょっとの距離をワンフットで移動して大ゴケしている方も結構見ます。
そんなシチュエーションでもステップオンなら「あー距離あるな、外して歩こう」と気軽に外せますし、ちょっとの距離でも一瞬で装着できるので、ワンフットで滑る必要がありません。
新ステップオンと旧ステップオンの違い
筆者のステップオンは2019-20年モデルですが、相方は2021-22年モデルを使っています。
今ではビンディングも、通常モデルとハイエンドの「ジェネシス」や「カーボン」など選ぶことができますが、相方は通常モデルです。
見た目はほとんど変わらないものの、毎年バーションアップしているようで2022年発売の新しいステップオンは使い勝手がかなり向上していると感じました。
というのも、下記の画像にあるビンディング側のブーツつま先左右にある金具をはめる部分なんですが、新旧で違いがあります。
新しい方には蓋のようなものが付いています。
この蓋のおかげかはわからないのですが、リリースレバーを上げるだけでスムーズに取り外しが毎回できているんです。
旧式のステップオンの場合、リリースバーを上げても上手く取り外しができないことが多々あります。
言葉だと難しいのですが、「外れたと思っても、ちゃんと外れてなくてちょっと体重が乗ってしまって、またはまっちゃう」みたいな。
また、装着に関しても足を一切捻らずに中心に置いて踏み込むだけで簡単に装着できています。
私の旧式の方は多少足を捻って滑り込ますように入れないと1発でカチッとはまりません。
ハイバックの裏側は特に違いはないように見えます。
これから新品をBURTON公式サイトなどで購入する方は自然とこの新型なので心配無用ですが、メルカリ・ヤフオクで購入する場合は、新品でも旧式のステップオンかもしれないので覚えておいて損はないと思いますよ。
買う前にスキー場で試すこともできる
ステップオンを試さずに購入するのを躊躇する方は、スキー場でレンタルして試すこともできますよ。
以下のスキー場ではレンタルでステップオンを貸し出しているようです。
・神立スノーリゾート
・エイブル白馬五竜
・猪苗代スキー場
・ウイングヒルズ白鳥リゾート
・スキージャム勝山
最安で2時間1,500円ほどのようなのでかなりお手軽ではないでしょうか。
ブーツのサイズ確認として使えそうなので筆者も借りてみようかと思います。
上記はざっと検索しただけで、探せばもっとあるはずなので各スキー場の公式サイトで探してみてください。
2022-23シーズンにNIDECKERのSUPER MATICが発売
2022-23シーズンにNIDECKER(ナイデッカー)からステップオンのライバルになりそうな新機軸のビンディングシステムが発売されるようです。
その名も「SUPER MATIC(スーパーマチック)」。
ステップオンと同じように、踏み込むだけで装着が可能なDROP INシステムを採用。
動画を見ていただくほうが早いですが、通常のストラップビンディングとしても使うことができます。
値段的にはステップオンよりも高額なんですが、このビンディングのすごい点が「専用ブーツでなくてもいい」ことです。
なんと、現在使っているブーツで利用することができるため、ステップオンと違ってブーツまで買い換える必要がありません。
バートンのブーツは合う合わないが結構あると思いますが、履き心地が良いディーラックスのブーツをそのまま使えます。
2022-23シーズンは間違いなく大注目のビンディングになると思うので要チェックですよ。
まとめ
一応記載しておくと、STEP ONはプロが飛ぶような20m以上のキッカー、ゴリゴリのハーフパイプを想定した作りにはなっていないので、あくまで一般的な使い方ができるビンディングです。
とはいえ、ゲレンデ内なら初心者・上級者問わずほぼすべてのスノーボーダーにフィットしたビンディングです。
値はかなり張りますが、装着スピード・体への負担を軽減できると考えれば買って損はしません。少なくとも筆者は後悔していません。
耐久性についても、3年間ガンガン使い倒してブーツのヘタリのみで済んでいるのでほぼ問題ないと思います。
STEP ONを使って快適なスノーボードライフを手に入れてください!